「健診で血糖値が高いって言われちゃった。そんなに甘い物食べていないはずなのに、どうしてだろう。忙しくて運動していなかったからかな。そういえば、若い時から比べて、ちょっとお腹も出てきちゃったかもしれない。糖尿病はいやだな。どうしたらいいだろう。」
このような、血糖値が高くなってきて、糖尿病が心配な方、血糖値を下げたいという方に、とてもいい本がありました。
常々、甘い物を控えるだけでは糖尿病はよくならないと考えていた所に、論理的にわかりやすく改善方法を提示してくれる、『血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット』です。
今回の内容からは、そもそも糖尿病ってどんな病気で、どうしたら改善できるか、7秒スクワットとはどのようなものかがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
今回の結論です。
- 糖尿病は血液中のブドウ糖が異常に高くなっている状態で、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性壊疽などの合併症や、心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクが高くなってしまう、危険な状態。
- 体の組織の中で、筋肉の細胞に、ブドウ糖が取り込めなくなってしまい、糖尿病が発症することが最近わかった
- 7秒スクワットなどの筋トレを週2回行うことにより、筋肉が活性化し、血糖値が下がる効果があった
今回も専門用語は使わず、わかりやすくお伝えしますので、一緒に体の勉強をしていきましょう。
本についての紹介
著者は日本内科学会認定医・日本糖尿病学会所属の宇佐見啓治先生で、医療法人うさみ内科で院長をされている医師です。
25年前から、主にスクワットで、患者さんに血糖値を下げる指導をしてきました。
現在も、自身のクリニックで、自主的に筋トレをしている方へ支援しているそうです。
宇佐見先生は最初、血糖値を下げるためにウォーキングを勧めていたそうです。
しかし、まったく効果が出なく、そして、長くウォーキングすることによって膝などの痛みを訴える患者さんが増えてしまったとのことです。
皆さんの中にも、血糖値が気になるから、ウォーキングをしているという方がいらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。
望ましい効果が出ているでしょうか?
宇佐見先生はウォーキングで血糖値を下げるのは間違っていると考えるようになり、長年の検証により、糖尿病を予防するには筋トレが必須だと考えるようになったそうです。
そもそも糖尿病ってどういう状態?
「糖尿病はおしっこに糖が出る病気でしょ」
「なんだかよくわからないけど、怖い病気らしい」
「医者から、『薬を飲むまでもない』って言われたから、少し甘い物を控えてはいるよ」
このような意見を持っている方も多いと思います。
改めて、糖尿病について知っておいた方がいい事をまとめておきます。
糖尿病は、血液中のブドウ糖が、いつまでも高いままでいるために、体中の血管がぼろぼろにしてしまう状態です。
糖尿病とは、簡単にいうと血液のなかのブドウ糖が異常に増えている状態のことをいいます。主な原因は、インスリンというホルモンの働きが悪くなり、体のあらゆる組織の細胞がブドウ糖を取り込まなくなるというもの。
宇佐見啓治 血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット 文響社2020年4月21日
令和元年度保健統計年報を見てみると、私たちの死因の2位に心疾患、4位に脳血管疾患となっています。
これらの重篤な病気を起こしやすくしている恐ろしい病気です。
糖尿病はいわゆる生活習慣病と呼ばれています。
私たちがご飯等の糖質を含んだ物を食べると、消化吸収されて、血液中のブドウ糖が増えます。
そのブドウ糖は、筋肉や脳などの全身の細胞に取り込まれて、エネルギーとして使われます。
しかし糖尿病は、そのブドウ糖が細胞の中に入らないで、いつまでも血液の中にあるわけです。
フヨフヨと。
つまり、血液の中にエネルギー源のブドウ糖が溜まっている状態です。
この状態が、全身の血管を傷つけるので、全身で出血したり、詰まったりしてしまいます。
目の網膜で起こすと網膜症、腎臓で起こすと腎症、足で起こすと壊疽、脳の血管で起こすと脳卒中、心臓に栄養を送っている血管で起こすと心筋梗塞や狭心症。
どれも起こすと大変な病気ばかりです。
血糖値が高くなったらどうすればいい?
健康診断で血糖値が高いと言われたらどうすればいいでしょうか?
医師に精密検査をしてもらった結果指導されることは、「糖の多い物を食べ過ぎないように」という事が多いようです。
お菓子や果物、ジュースなどを控える。
ご飯や麺類、パンなどを控える。
炭水化物が好きな方、甘い物が好きな方は大変苦しいです。
宇佐見医師は、食事よりも運動が大切だと教えてくれます。
それも、ウォーキングではなく筋トレ。
どうして血液中のブドウ糖が多くなってしまうのかが判明!
年齢と共に糖尿病の人が多くなります。
どうして年齢が上がると血糖値が高くなるのか。
それは、全身の筋肉が糖を使えなくなってしまうからだったのでした。
糖尿病でブドウ糖の取り込み率が悪くなる部位は、ほとんどが筋肉だったのです。健康な人と糖尿病患者の筋肉の細胞への取り込み率は半分以下。筋肉がブドウ糖を「取り込めなくなることで、血液のなかにブドウ糖があふれてしまっていたのです。原因は、筋肉を動かす機会が少ないか、加齢や運動不足などで筋肉量が落ちているか。
宇佐見啓治 血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット 文響社2020年4月21日
昔のように、仕事が人力だった時には、たくさんのブドウ糖を使って仕事をしていたのでしょう。
しかし、機械化が進んだ分、体を使って働く必要が無くなって、エネルギーとしてのブドウ糖が余るようになり、筋肉量はどんどん減っていきます。
そして、年齢が進むにつれて、一日の運動量も減っていきます。
「毎日散歩しているよ!」という方もいらっしゃると思いますが、散歩などの有酸素運動で主に使われるのは脂質で、ブドウ糖がエネルギーとして使われる量は少ないです。
このような理由から、年齢と共に糖尿病の治療が必要になる方が多くなるのですね。
ブドウ糖をたくさんエネルギーとして使う方法
血糖値を下げるためには、筋トレが必要なのです。
宇佐見医師は、高齢になっても安全に、効果的に行える筋トレとして、7秒スクワットを紹介してくれています。
筋肉の問題なら、筋肉を鍛えれば血糖値が安定するのでは?その仮定の下で考案したのが、本書で紹介する「7秒スクワット」。もちろん、高齢の人や肥満気味の人など、運動が苦手でも安全にできる運動です。筋肉を鍛えるといっても、目的は血糖値のコントロール。マッチョな体をつくる必要はなく、筋肉を効率よく使い、筋肉の量を減らさない程度で十分。しかも、「7秒スクワット」には、即効性も期待できます。というのは、運動後1時間は、インスリンが働かなくてもブドウ糖を取り込むからです。インスリンの分泌が少なくなっていても、効きが悪くなっていても、血糖値を下げられるのです。
宇佐見啓治 血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット 文響社2020年4月21日
なんと!筋トレ後1時間は、インスリンが働かなくても筋肉細胞はブドウ糖を取り込んでくれているとは驚きです!
糖尿病が進行すると、インスリンの出が悪くなってしましますので、そのような方にも筋トレは有効な運動という事ですね。
普段から筋トレを行って筋肉がたくさんある人は、糖尿病になりにくいという事も言えます。
血糖値が高めなためにジムでトレーニングを行っている人は、エアロバイクやトレッドミルなどの有酸素運動を行うよりも、バーベルなどの筋トレ器具を活用したほうが、糖尿病予防になるということです。
今まで運動していない、という方は、ジムでの運動はハードルが高いと思うで、宇佐見医師が提唱する7秒スクワットに、まず取り組んでみてはどうでしょうか。
7秒スクワットのやり方について
7秒スクワットは、その名前のとおり、7秒かけてゆっ~くりと行うスクワットです。
そう聞くと、なんだかあまり効果が無さそうに聞こえますが、早く行うよりも、できるだけゆっくり行ったほうが、筋肉に刺激がたくさん入ります。
スロートレーニングの原理を活用しているスクワットですね。
1から4の動作を10回繰り返して1セット。
1セットごとに、30秒から1分くらいの休みを入れます。
動作がうまく行えない時には、両足を広めにしましょう。
決して難しいスクワットではなく、ゆっくりと安全に行うスクワットですね。
宇佐見医師は、YouTubeでやり方も説明してくれています。
まとめ
今回は『血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット』から、血糖値を下げるにはどうしたらいいかをお伝えしました。
- 運動不足や筋肉量の低下から血糖値が上がってきて、様々な恐ろしい病気につながっていく
- 筋肉量を増やすには、ウォーキングよりも筋トレが有効
- 高齢な方や、体重が多い方でも安全にできて、効果の大きい筋トレとして、7秒スクワットがおすすめ
『血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット』では、どうして7秒スクワットがいいのか、食事はどのように考えるべきなのかを教えてくれています。
特に役立つという点も、今後お伝えしていきたいと思います。
実際に、本を読んで勉強してみたいという方は、ぜひ読んでみてください。
字が大きく、写真やイラストが多いのですし、専門用語が少ないので、大変読みやすい本でした。
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筋トレは、運動の一つでダイエットにも大きく役立ちます。
つまり、血糖値を下げ、しかも理想の体づくりにも役立つのです。
ウォーキングをする時間が持てないという方にも、ぜひおすすめしたい運動の一つです。
以上、皆さんの糖尿病予防・改善に役立てばうれしいです。
今後もどうぞ、よろしくお願いします。
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